
「過食嘔吐をしていたら歯が溶けてきた気がする…」
「もしかしてこのままだと歯がボロボロになってしまう…?」
過食嘔吐が続き、歯への影響を心配している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
過食嘔吐による歯への影響は、自覚症状がないまま進行することもあるため、気づいたときには重症化しているケースも珍しくありません。
この記事ではムクノキ歯科の歯科衛生士である東山が、過食嘔吐が歯に与える影響や症状の経過と治療法、自宅でできるケアを解説します。
一人で悩まず、まずは正しい知識を知ることから始めましょう。

過食嘔吐で歯が溶けるのは本当?

過食嘔吐を繰り返すと胃酸が歯に触れ、「酸蝕症(さんしょくしょう)」と呼ばれる状態になります。
ここでは、酸蝕症について解説します。
酸蝕症の発症
過食嘔吐を繰り返すと、嘔吐した際、胃酸が口内に触れる回数が増えます。
胃酸は歯のエナメル質を徐々に溶かし、歯を弱くしていくのです。
エナメル質は歯を守る硬い外層で、一度傷ついてしまうと再生できません。
胃酸によってエナメル質が溶けると、歯の内部が次第に露出して歯がもろくなり、割れやすくなる可能性があります。
酸蝕症と虫歯・知覚過敏の違い
酸蝕症と虫歯、知覚過敏には、以下のような違いがあります。
酸蝕症は、主に胃酸による化学的な影響で歯が溶けていきます。
虫歯は細菌による感染症が原因で、進行すると歯に穴が開くのが特徴です。
知覚過敏は、エナメル質が薄くなり歯がしみる状態です。
酸蝕症が進行すると、知覚過敏の症状が現れるケースもあります。
歯が溶ける酸蝕症の症状と経過について

酸蝕症による症状は、徐々に見た目に変化が現れます。
状態変化の気づきが遅れると、歯が脆くなるまで放置してしまう恐れもあるでしょう。
治療開始時期は、なるべく早いほうが、歯への負担も軽減できます。
ここでは、酸蝕症の症状を段階的に解説するので、参考にしてください。
初期症状:歯の表面がつるつる・薄く見える
酸蝕症の初期症状としては、歯が薄く感じたり、表面がつるっとして見えることがあります。
また、冷たいものや甘いものがしみる可能性もあります。
歯がしみるのは知覚過敏のサインで、胃酸によってエナメル質がすでに少し薄くなっている状態です。
中期症状:知覚過敏・歯の変色
酸蝕症の中期症状は、エナメル質の厚みが減り、歯がだんだん黄色っぽく見えたり、歯の内部が露出したりしやすくなります。
さらに知覚過敏が進行して、温かい飲み物でも痛みを感じたりするケースがあります。
末期症状:歯が欠ける・激しい痛みが出る
酸蝕症が進行し続けると、最終的に歯が欠けたり、割れたりする傾向が高まります。
さらに進行すると、歯の神経にまで到達し、激しい痛みが現れ始めます。
歯の内部にまで症状が現れた場合、根管治療が必要になるでしょう。
根管治療については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて読んでみてください。
☞【院長監修】根っこの治療は何をやっている?根管治療の必要性と内容は?
過食嘔吐後の歯の正しいケア方法

過食嘔吐後の歯の正しいケア方法として、すぐに歯は磨かないようにしてください。
歯のダメージを最小限に抑えるために、正しいケアを理解しましょう。
過食嘔吐後すぐに歯を磨いてはいけない理由
過食嘔吐後すぐの歯磨きを避けるべき理由は、歯を傷つける可能性があるからです。
胃酸が歯に付着した直後は、歯のエナメル質が柔らかくなっています。
すぐに歯を磨くと、歯ブラシの毛先が当たり、さらに傷をつけてしまう恐れがあります。
過食嘔吐後はうがいで中和してから歯を磨く
過食嘔吐後は、口内を中和することが大切です。
まずは口を優しくゆすいで、胃酸を吐き出しましょう。
うがい後、最低でも30分以上空けてからの歯磨きがお勧めです。
30分待つことで、歯磨きをしてもエナメル質へのダメージを最小限に抑えることができます。
フッ素・知覚過敏用歯磨き粉を使う
過食嘔吐がある方は、フッ素配合の歯磨き粉や知覚過敏用歯磨き粉の使用もお勧めです。
フッ素入りの歯磨き粉を使うことで、エナメル質の「再石灰化」が促進されます。
また、知覚過敏が気になる場合は、知覚過敏専用の歯磨き粉を使うと効果的です。
知覚過敏用の歯磨き粉は、歯の神経を刺激から保護する成分が含まれ、痛みを軽減する効果に期待できます。
ブラッシング時は無理にゴシゴシ磨かず、歯ブラシは優しく動かしましょう。
胃酸で溶けだした歯のエナメル質を守るためには、細かく丁寧なケアが重要です。
過食嘔吐で溶けた歯への3つの治療法

過食嘔吐で歯が溶けてしまった場合、治療方法には次のような選択肢があります。
歯科医師と相談し、自分に最適な治療方法を選びましょう。
レジンやセラミック治療
レジンやセラミック治療で、傷ついた部分の見た目と噛み合わせを改善し、歯の色や形を整えます。
特にセラミック治療は、見た目が自然で強度も高いため、歯の美しさと機能性を回復する治療法として非常に有効です。
入れ歯
胃酸の影響を受けた歯の状態によっては、部分入れ歯も選択肢の一つとなります。
入れ歯は、取り外し可能で衛生的であり、比較的費用を抑えて治療を受けられます。
ただし残っている歯に負担をかけないよう、きちんと調整することが重要です。
インプラント
歯を失ってしまっている場合、インプラントも選択肢として挙げられます。
インプラントは、天然歯に近い感覚で食事ができるため、審美性と機能的に優れています。
ただし、インプラント治療は費用が高いことや、術後のメンテナンスが必須となるでしょう。
インプラントの治療のケアについては、以下の記事で詳しく解説しています。
☞インプラントのメンテナンスをしないとどうなる?重要性や費用を解説
歯科と心療内科の連携で過食嘔吐の根本原因を改善

過食嘔吐は、歯の治療だけでは根本的な解決にはなりません。
過食嘔吐を改善するためには、食行動の改善や精神的なケアも必要です。
過食嘔吐の原因は精神面にある
過食嘔吐の原因は、食生活の乱れだけではありません。
発症患者は、食べ過ぎや不満を解消しようとして嘔吐を繰り返してしまうのです。
原因の根本には、精神的なストレスや自己肯定感の低さ、うつ症状などが深く関わっているとされています。
心の健康改善は、過食嘔吐の予防と治療においても非常に重要な要素です。
歯科治療と心療内科のカウンセリングを組み合わせる重要性
過食嘔吐の症状がある場合、歯科治療と心療内科の連携が必要です。
過食嘔吐によって傷んでしまった歯の治療は、歯医者で行います。
ただし、それだけでは根本的な問題を解決することには限界があるでしょう。
精神的な問題を解決するために、心療内科やカウンセリングを受けることが非常に効果的です。
心療内科でのカウンセリングを通じて、過食嘔吐を繰り返してしまう心理的な原因を解決しておきましょう。
ストレス管理や自分を大切にする方法を学ぶことが治療の一環として重要です。
まとめ:過食嘔吐による歯の変化は歯医者にご相談を

過食嘔吐を繰り返している場合、なるべく早めに専門の歯科医に相談して、症状が進行しないうちにケアを始めましょう。
過食嘔吐による歯のダメージは、胃酸による酸蝕症が原因です。
歯のケア方法を正しく実践することで、進行を防ぐことができます。
また歯科治療と合わせて、心理的なサポートを受けることを検討してください。
治療の選択肢を広げると、より効果的な改善に期待できます。
ムクノキ歯科では、公式LINEやメールでのお問い合わせを24時間受け付けております。

