「インプラントの術後はケアが大変って聞いたけど、実際はどうなの?」
「高額な費用をかけたからには、トラブルなく過ごしたい」
インプラントを検討中や術後のケアで通う予定の方など、インプラントのメンテナンスについて詳しく知りたい人も多くいらっしゃるでしょう。
インプラントのメンテナンスを怠ると、埋入後に短期間で機能不全に陥り、再治療が必要なケースもあります。
この記事では、インプラントのメンテナンスの重要性や注意点、費用についてムクノキ歯科の歯科衛生士である高橋が解説します。

インプラントのメンテナンスの重要性は4つ
インプラントのメンテナンスは、以下4つの目的から重要です。
②インプラントの寿命を延ばす
③メンテナンスがインプラントメーカーの保証条件になっている
④周りの健康な歯を守る
ここではインプラントのメンテナンスの重要性について、一つずつ解説します。
①インプラント歯周炎を予防する
インプラント歯周炎は、インプラント周囲の歯肉や骨に炎症が現れる状態のことです。
インプラント治療後に、最も気を付けたい症状です。
インプラント歯周炎を発症すると進行が早く、歯周病菌の増殖で骨が溶けはじめ、インプラントが抜け落ちる恐れがあります。
日本歯周病学会の調査では、インプラント治療後3年以上の患者のうち約1割が、インプラント歯周病を患っていたことがわかっています。
インプラント周囲の歯周組織を確認することで、早期発見・早期治療につながるためメンテナンスが重要です。
参照:特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会「インプラント周囲疾患」
②インプラントの寿命を延ばす
インプラントの定期的なメンテナンスによって、寿命を最大限に延ばせる可能性が高まります。
一般的に10~15年と言われていますが、定期的なメンテナンスを行えば、トラブルを最小限に抑えて過ごせるでしょう。
③メンテナンスがインプラントメーカーの保証条件になっている
インプラントメーカーから製品保証の条件として、「定期的なメンテナンスの受診」が義務付けられています。
インプラントの保証を受けるには、3〜6ヶ月ごとの定期メンテナンスが条件となっている場合が一般的です。
メンテナンスを怠ると万が一のトラブル時にメーカー保証が適用されず、高額な再治療費が全額自己負担になる可能性があります。
④周りの健康な歯を守る
インプラント周囲の炎症は、隣の健康な天然歯にも悪影響を及ぼすケースがあります。
インプラント一箇所の問題が、口腔内全体の問題へと発展することを防ぐために、定期的なメンテナンスが重要です。
またインプラントを支える骨が減少すると、隣の天然歯を支える骨も弱まり、最悪の場合、健康な歯まで失ってしまいます。

ムクノキ歯科でのインプラントのメンテナンス方法
ここからはムクノキ歯科でのメンテナンス方法について紹介します。
次の流れで行うので、ぜひ受診前の参考にしてください。
インプラントの揺れや歯周組織の確認
歯科医師または歯科衛生士が、インプラントに揺れがないか専用の器具で確認します。
健全なインプラントはまったく動きませんが、わずかな動揺でも検出された場合、骨との結合に問題が生じている可能性が考えられるのです。
また、インプラント周囲の歯肉の状態を確認し、ポケット(歯肉とインプラントの間の溝)の深さを測定します。
健康なインプラント周囲のポケットは通常3mm以下であり、3mmより深い場合はインプラント周囲炎を疑う必要がでてきます。
レントゲン撮影で異常がないか確認
肉眼では見えないインプラント周囲の骨の状態を、定期的なレントゲン撮影で確認します。
骨の吸収の有無や程度を評価し、インプラントの安定性を判断する重要な指標となります。
インプラント治療直後と比較して、骨のレベルに大きな変化がないか経過観察することで、問題の早期発見が可能です。
ブラッシング指導
インプラントのブラッシング方法は、天然歯とは若干異なります。
インプラントの状態や位置に合わせて、最適なブラッシング指導を受けましょう。
インプラントと歯肉の境目や、インプラント同士またはインプラントと天然歯の間などは、特に丁寧な清掃が必要です。
歯間ブラシ・デンタルフロス・水流ピックなど、適切な清掃補助器具の使用方法も一緒に確認するのがお勧めです。
クリーニング
インプラントのメンテナンスとして、周囲の歯垢や歯石の除去を行います。
インプラントの表面を傷つける可能性を抑えるため、天然歯と異なりプラスチック製やチタン製の特殊な器具を用いて行います。
インプラントのメンテナンス頻度と費用
インプラントを長持ちさせるため、定期的なメンテナンスが必要です。
折角高額なインプラント治療を行ったのにメンテナンスを怠るのは非常に勿体無いことです。
メンテナンスの頻度と費用について、把握しておきましょう。
インプラント治療後の通院頻度
インプラント治療直後は、およそ1〜3ヶ月に1回の頻度でメンテナンスを受けることが推奨されています。
術後の治癒状態とセルフケアの方法が適切か確認するためです。
インプラントの術後経過は違いますので術前に主治医に確認してみると良いでしょう。
経過を見た後インプラントの状態が安定していれば、通常3〜6ヶ月に1回の頻度でのメンテナンスが標準的です。
ただし、喫煙者や歯周病の既往歴がある方、糖尿病などの全身疾患をお持ちの方は、さらにメンテナンスが必要な場合があります。
メンテナンス費用も自由診療で約1万円が相場
メンテナンス費用もインプラント治療同様、健康保険適用外の自由診療となり、歯医者によって費用が異なります。
一般的な相場は、以下の通りです。
精密検査(レントゲン撮影含む):10,000〜20,000円
※地域・歯医者の規模・設備によって費用は変動します。
※インプラント本数によって料金が変動する場合があります。
インプラントを維持するための4つの注意点
インプラント治療後、長期的に維持するための注意点は以下の4つです。
②セルフケアは毎日念入りに行う
③喫煙や歯ぎしりを防いで骨を守る
④インプラントは一生ものではない
自宅でのセルフケアと、歯医者での専門的なケアを両方行うのが理想です。
ここから注意点について、一つずつ解説します。
①可能な限り同じ歯医者を受診する
インプラント治療を受けた同じ歯医者で、継続的にメンテナンスを受けましょう。
患者様の状態や治療の経過を把握しており、インプラント埋入時と現状の比較ができるからです。
また、使用したインプラントメーカーや特性を熟知し、メーカー保証の記録や履歴を管理していることなどから同じ歯医者がお勧めです。
転居などでやむを得ず歯医者を変更する場合は、過去の治療内容や使用されたインプラントの種類、サイズなどの詳しい情報を新しい医院に伝えるために記録しておきましょう。
②セルフケアは毎日念入りに行う
自宅でのセルフケアは、インプラントの寿命を左右する最も重要な要素の一つです。
インプラント専用の歯ブラシや歯間ブラシを使用し、インプラントと歯肉の境目を重点的に丁寧に清掃しましょう。
歯磨き粉はインプラントを傷つけないために、研磨剤の少ないものを選ぶのがお勧めです。
インプラントのタイプによっては、さらに特別なケアが必要な場合もあります。
例えば、取り外し式のインプラント義歯の場合は、義歯の清掃方法や保管方法についても医師の指示に従いましょう。
③喫煙や歯ぎしりを防いで骨を守る
インプラントを維持するには、骨を守ることが重要です。
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、インプラント周囲の血流を悪化させます。
さらに免疫機能も低下させるため、インプラント周囲の感染リスクが高まるのです。
また歯ぎしりや食いしばりは、インプラントに過剰な力をかけてしまい、骨の結合を弱め被せ物の破損を引き起こす原因となります。
予防のために、就寝時にマウスピースの使用が推奨される場合もあります。
④インプラントは一生ものではない
高品質なインプラント治療と適切なメンテナンスがあれば、20年経ってもインプラントを使用できるケースもありますが、一生ものである保証はありません。
特に被せ物は、10〜15年程度で交換が必要になる可能性があります。
また、加齢による骨質の変化や全身疾患の発症により、インプラントの状態が変化する場合があるのです。
長く使い続けるためには、一度治療したら終わりではなく、継続的なケアと定期的な検診が必要です。
まとめ:信頼できる歯医者でインプラントのメンテナンスを始めましょう
インプラントのメンテナンスは、将来的な再治療のリスクや費用を大幅に減らすために必要な治療です。
インプラント治療は術後で完了ではなく、長期的に経過を見ることが重要です。
まずはインプラントの技術やメンテナンス後の仕上がりなど、信頼できる歯医者を選択しましょう。
ムクノキ歯科では、インプラントに関するカウンセリング・治療も非常に多く行っております。
公式LINEでのお問い合わせを24時間受け付けております。
インプラントや費用で悩みの方は、お気軽にご相談ください。