
歯周病は年齢を問わず起こる病気で、原因はプラーク(歯垢)です。
歯周病は年齢そのものが原因ではなく、生活リズムの乱れや磨き残しなどが重なると進みやすくなる条件が整ってしまうのです。
歯医者の検査で早めに現状を知り、毎日のケアで整えることが進行の抑制に繋がります。
この記事では、歯周病と年齢の関係性や年齢別のサイン、歯周病の予防法についてムクノキ歯科の歯科衛生士である東山が解説します。
気になる症状があれば自己判断で様子を見ず歯医者に相談しましょう。
歯周病は何歳から起こるのか

歯周病の始まりとして「年齢」は直接的な原因ではなく、進みやすくなる条件に位置づけられ、思春期以降なら誰にでも起こり得ます。
若年で始まり、30代で目立ち、40代以降は進行しやすくなりますが、適切なケアでコントロール可能です。
ここでは、年代別で歯周病が起こりやすい理由を解説します。
若年でも歯周病が起こる理由
思春期はホルモン変化で歯茎が反応しやすく、磨き残しがあると炎症が出やすくなります。
部活や受験で睡眠不足になったり、間食や糖分の多い飲料の摂取が増えたりすると、プラークが蓄積して出血が続きやすいです。
一部の若者の方に、「侵襲性歯周炎」という骨が若いうちから失われる進行型があり、グラつきが出ることがあります。
出血が続く、噛むと痛い、家族に若くして歯を失った方がいるなどの場合は早期検査が重要です。
歯周病が30代から増える背景
30代は仕事や育児で忙しくケアが不足しがちになり、歯周病が増える傾向にあります。
喫煙やストレス、睡眠不足、歯ぎしりなどが重なると炎症が長引き、歯槽骨(歯を支える骨)の減少が進みやすくなるのです。
また妊娠・出産などのライフイベントによって生活ペースが変化し、定期受診の間隔が延びることも一因といえるでしょう。
40代以降で歯周病の進行が目立つわけ
40代以降は加齢に伴って唾液の分泌量が減り、口が乾くと細菌が増えやすい環境になります。
また、被せ物や入れ歯に段差があるとプラークが付着しやすく、自分で気づかないうちに歯周病が進む場合もあります。
年代別の歯周病サインとセルフチェック

歯周病は年代によって現れやすいサインが異なります。
次に当てはまる項目があれば受診の目安にしてください。
10代〜20代前半
10代〜20代前半の方のセルフチェック項目は以下の3つです。
- 1週間以上、出血が続く
- 親知らず周辺が痛む
- ワイヤー矯正中で磨きにくい
歯磨きで血が出る、口臭が気になる、歯茎の縁が赤く腫れるなどがサインです。
20代後半〜30代
20代後半〜30代の方は、朝の口内のねばつき、食べ物が歯と歯のすき間に残りやすい、歯茎が下がってしみるなどが目安です。
特に女性は、妊娠中は腫れや出血が増えやすい時期です。
セルフチェック項目は以下の3つですが、2つ以上当てはまるのであれば受診のタイミングといえるしょう。
- デンタルフロスや歯間ブラシをするのは週3回未満
- 出血が2週間以上続いている
- 口臭を指摘された
40代〜50代以降
40代〜50代以降の方は、噛むと痛い、歯がぐらつく、歯と歯のすき間が広がる、口の乾き、補綴物(被せ物・入れ歯)の段差が気になるといった変化に注意しましょう。
セルフチェックの項目は以下の3つで、1つでも続くようであれば受診をお勧めします。
- 膿のような味がする
- 歯茎から膿が出る
- 写真で歯茎が下がって見える
歯周病のよくある3つの原因

歯周病の原因はプラークですが、清掃不良・生活習慣・全身状態が重なると悪化しやすくなります。
①磨き残しや古くなった歯ブラシの使用
プラークは、歯ブラシだけでは届きにくい部位に残りがちです。
古くなって毛先の広がった歯ブラシでは、歯をうまく磨けません。
歯間ブラシやフロスを組み合わせたり、歯ブラシを交換したりすると炎症が落ち着きやすくなります。
歯並びやリスクに合わせた道具選びは、歯医者でも相談可能です。
②喫煙・ストレス・睡眠不足などの生活習慣の乱れ
喫煙・ストレス・睡眠不足などの生活習慣の乱れも歯周病の原因の一つです。
喫煙は血流を悪くし、出血が目立ちにくくなるため、歯周病の進行に気づきにくいとされています。
また、強いストレスや睡眠不足は免疫機能に影響し、炎症が治りにくいです。
禁煙と休息の確保は、歯周病の治療効果を底上げする要因といえるでしょう。
③糖尿病など全身状態や薬剤の影響
糖尿病があると歯茎の炎症が続きやすく、歯周病と相互に悪影響が生じます。
降圧薬・抗うつ薬などの副作用によって唾液が減ると、口内が乾燥し、細菌が増えやすい環境になります。
かかりつけ医と連携し、全身管理と口腔ケアの両方を行いましょう。
ライフステージで気をつけたい歯周病

ライフステージによっても歯周病の影響を受けやすい時期があります。
特に妊娠期・更年期・矯正やインプラント治療中はリスクが上がるため、状況に合わせたケアを選びましょう。
妊娠を考える方や妊娠中
妊娠中の女性はホルモンの影響で歯茎が腫れやすく出血しやすくなります。
さらにつわりで磨きにくいときは、注意が必要です。
小さめヘッドのブラシで「短時間×複数回」に分けて磨く、水やお茶でのうがい、就寝前のフロス活用など自分に合った磨き方で口内を清潔に保ちましょう。
もし妊娠中に歯に痛みが出たときは以下のような対処法があるので、ぜひ参考にしてください。
☞妊娠中に歯が痛いときの4つの原因と対処法|初期から臨月までの受診ポイントを解説
更年期
更年期は口の乾きや知覚過敏を感じる機会が増え、口臭が気になりやすい時期です。
保湿ジェルや唾液腺マッサージ、就寝前の歯間清掃を習慣化して炎症を抑えましょう。
矯正やインプラント治療中
矯正の装置周囲やインプラント周囲は清掃が難しい部位があり、歯周病になりやすいです。
先端の尖ったタフトブラシやスーパーフロス等の専用補助具を併用し、歯医者でのクリーニングの間隔を短めにするのもよいでしょう。
歯周病の進行度判定と治療の流れ

ここで歯周病にかかっているかの検診や、治療の流れを把握しておきましょう。
次の順で進んていくので、把握しておくと通院が続けやすくなります。
検査
歯周ポケットの深さや出血の有無、歯のぐらつきを調べ、レントゲンで歯槽骨の状態を確認します。
全身疾患や服用薬を把握し、個別の治療計画を立てます。
初期治療
プラークや歯石を専門の器具で除去し、磨き方を一緒に確認します。
喫煙や食習慣、睡眠など生活リズムを整え、個々に合ったケア用品を選びます。
再評価と外科治療
初期治療後に出血や深い歯周ポケットが残る部位は、再評価で改善度を確認します。
必要に応じて、歯肉を整えて清掃しやすくする外科的な処置などを検討します。
メンテナンス
歯茎の炎症が落ち着いても、細菌は再びたまりやすくなります。
歯並びや歯周病のリスクに応じて、3~6ヶ月ごとの専門的クリーニングが必要です。
歯科衛生士が行う専門的なクリーニングである「PMTC」については以下で詳しく解説しています。
☞PMTCについて歯科衛生士が徹底解説丨 PMTCの効果や施術の流れを解説
歯周病予防のために身に付けたいこと

毎日の清掃と生活の整え方が土台です。無理なく続く方法を選び、習慣化を目指しましょう。
適切なブラッシング習慣を身に付ける
歯周病予防には、毎日の適切なブラッシング習慣を身に付けましょう。
歯ブラシに加えて、デンタルフロスや歯間ブラシを毎日取り入れるのがお勧めです。
舌清掃を優しく行ったりすると、出血が減りやすくなり、口臭対策にもつながります。
フッ化物と洗口
フッ化物配合歯磨剤を使ってブラッシングし、就寝前は少量の水で1回のみのうがいにすると、有効成分が口内に残りやすくなります。
歯医者でフッ素の濃度や使い方の相談も可能です。
フッ素の使用については以下の記事を参考にしてください。
☞フッ素は体に悪い?子どもも大人も不安を解消して歯を守ろう
生活習慣を見直す
歯周病予防には、生活習慣を見直し、健康的な生活を意識しましょう。
禁煙や十分な睡眠、バランスのよい食事を心がけてください。
甘味飲料のだらだら飲みを控え、よく噛んで唾液を出すことが効果的です。
まとめ:歯周病は何歳からでも始まるので予防は今日から始めましょう

歯周病の原因はプラークであり、年齢は進みやすくなる条件の一つに過ぎません。
歯周病は、若年から始まる可能性があり、30代で目立ちはじめ、40代以降は進みやすくなります。
毎日の歯磨き習慣や生活習慣を整え、歯医者で定期検査とメンテナンスを受けて進行を抑えましょう。
ムクノキ歯科では、公式LINEやメールでのお問い合わせを24時間受け付けております。

