「歯周病だと言われたけどどのように治療をするの?」
「歯周病は治らないと聞いたけど本当?」
昨今、歯周病治療の大切さをテレビなどで目にする方も増え、歯周病になってしまったらどうしたら良いのかと心配になる方も多いと思います。
軽度の歯周病も含めると日本人の成人の約8割が歯周病とも言われ、歯を失ってしまう原因の1位となっています。
歯周病についてはこちらの記事で説明していますので参考にしてください。
☞【知らないと恐ろしい】歯周病について|歯周病ってどんな病気?症状と歯周病の治療方法について
歯周基本治療って?
歯周基本治療とは、歯周病の原因となる歯垢や歯石を除去し、歯周病になりにくい状態を作るために行う治療です。
進行度を問わず歯周病の治療の第一選択肢となります。
歯周基本治療とは歯科医院と患者様両者で協力して歯周病の進行を止めていく治療になります。
なぜ歯周基本治療が必要なの?
歯周病は、自然に治るということはありません。
ですので歯周病になってしまったら第一選択肢の歯周基本治療を行う必要があります。
歯周病の進行度が進んでしまって重度の歯周病(歯槽膿漏)になってしまっていたとしてもまずは歯周基本治療を行う必要があります。
歯周病を放っておくとどうなるの?
そのままどんどん進行していきます。
早期発見・早期治療であれば症状を抑えられたものも、進行させてしまうとどのような手を尽くしても歯を残すことが難しい状態になり、結果本来失わなくて済んだはずのご自身の歯を失うことになります。
進行してしまった歯周病は元に戻すことはできないため早期発見・早期治療が何よりも大切になります。
歯周基本治療の内容
では一体、歯周基本治療とはどのようなものでしょうか?
治療と名前がついていますので歯科医院で全て治療をおこうというイメージがあるかもしれませんが、歯周基本治療は患者様のご協力なしには成功できません。
以下、詳しくみていきましょう。
①プロービング・画像診断
まずは、現在の歯周病がどの程度進行しているのかを計測します。
まずは、歯周ポケットの深さをメモリのついた器具で歯科衛生士が一本一本測っていきます。
その際に出血の有無・歯の動揺・プラークの付き具合も一緒に確認し、歯周病の進行度を患者様にお伝えします。
デンタルエックス線画像10枚法の画像も撮ってお口全体の様子も確認します。
②生活習慣などの質問
歯周病は、生活習慣やストレスなどとも深く関わりがあります。
歯科衛生士が
・食事はどのようなものを何時くらいに食べているのか
・飲酒・喫煙の有無
などを伺って治療計画を立てます。
歯周基本治療は患者様の協力なしには成功しないので、治療計画は患者様とよく話し合って決めていきます。
③歯科医院での歯垢・歯石の除去
歯周病の原因である歯垢・歯石をマイクロスコープ*を使用し、肉眼では見えない細かい部分の汚れまで徹底的に除去します。
④患者さんへのブラッシング指導
どんなに歯科医院で歯垢・歯石を綺麗に除去したとしてもセルフケアでしっかり磨き切れていなければすぐに歯周病が悪化してしまいます。
特に、歯の間や歯茎の境目など歯周病菌が溜まりやすい箇所を重点的にお掃除するブラッシング方法を指導していきます。
歯周基本治療の一番大切なことは磨き残し(プラーク)を残さないようにするプラークコントロールです。
プラークコントロールは毎日患者様自身でしていただくことになりますので衛生士と患者様の二人三脚で治療を行なっていく必要があります。
⑤詰め物・補綴物の制作
合わない詰め物や補綴物が入っている場合は除去し患者様に合った補綴物を制作し入れていきます。
何年も前の詰め物などの場合、形が合わなくなっている・変形してしまっている場合があります。
その場合、その隙間から歯周病菌が繁殖してしまうのでピッタリと合った補綴物に変更する必要があります。
⑥歯のぐらつき・噛み合わせの確認
歯の一箇所に強い力がかかっている場合は歯へのダメージが強く、歯周組織を壊してしまいます。
噛み合わせの確認を行い、歯の調節を行います。
ぐらついている歯がある場合はそこから歯周病菌が繁殖してしまいますので、治療を行います。
⑦再評価検査
①で行なったプロービングで歯周病の進行度を再度確認していきます。
歯周病が改善されなかった場合や悪化していた場合、②〜⑦を繰り返します。
歯肉炎〜軽度の歯周病までの場合、基本歯周治療で治る場合があります。
ですので予防・早期発見・早期治療がとても大切になってきます。
歯周基本治療を行っても改善が見られない場合
残念ながら歯周基本治療を行なっても改善がみられない場合は歯周外科手術へ進んでいきます。
中度の歯周病程度までの場合は歯周外科手術で改善が見られる場合があります。
歯周外科手術を成功させるためにも、歯周基本治療で口内環境をできる限り清潔に保っておく必要があります。
歯周基本治療のメリットとデメリット
歯周基本治療にもメリットとデメリットがありますのでそれぞれご説明していきます。
メリット
・歯周病をきっかけに歯科医院へ通院するようになり歯の健康への関心が深まる
・プラークコントロールを習得することができる
・将来的に自分の歯の健康寿命を伸ばすことができる
デメリット
・頻繁に通院する必要があるので時間を確保しなくてはならない
・治療中痛みを感じる場合がある
このようにメリットとデメリットがありますが、人生100年時代、長い目で見た時には圧倒的にメリットが多いのではないでしょうか?
歯周病は、生活習慣病という位置づけになります。
そのままにしておくとどんどん進行し
・脳卒糖尿病誤嚥性肺炎
・早産・低体重児出産
など様々な悪影響を起越す可能性があります。
歯周基本治療でよくある質問
ここではし楓基本治療に関するよくある質問をQ&A形式でお答えしていきますので参考にしてみてください。
歯周基本治療の目標はなんですか?
歯周病を現状でとどめ、プラークコントロールを日常で取り入れていただき歯周病を悪化させないようにするということが目標になります。
歯周基本治療を受けると歯周病は完治しますか?
歯肉炎や軽度の歯周病程度でしたら歯周基本治療を受けることでよくなります。
ただ、治るというのが歯周病になる前の状態のことを指す場合、完治はないです。
歯周病は再発しますので生きている限り歯周病というのはずっとついて回ります。
歯周病が進行してしまっているので受診してももう無駄ですか?
進行してしまっているからと、そのままにしておくと最悪の場合歯を失うことになります。
また、歯周病独特の口臭もかなりひどくなります。
気がついた時点で早めに歯科医院を受診し、歯周病に真摯に向き合う必要があります。
まとめ:歯周基本治療と歯周病治療の第一選択肢
歯周病になってしまった場合の第一選択肢は歯周基本治療です。
早期発見・早期治療であれば比較的簡単に改善が見られます。
また、歯周基本治療は患者様のプラークコントロールが何よりも大切になってきます。
長い人生、大切な歯を失わわないように私たち、歯科衛生士と二人三脚で大切な歯を歯周病から守り歯の健康寿命を延ばして行きましょう。