歯周病は怖い病気って最近よく聞くけどどうなっちゃうのかしら?
歯が痛み出しで歯周病ではないかと心配だ。
など歯周病は恐ろしい病気であるということはなんとなく知っていてもよくわからない。
自分は歯周病なのかどうかを簡単に知りたい。
などとお悩みの方も多いのではないでしょうか?
昨今の健康ブームも相まって、お口の健康と全身疾患の関係性も注目されるようになりお問合せいただく機会が増えてきました。
そこで今回はより多くの方に知っていただくためにムクノキ歯科の歯科衛生士チーフの東山が歯周病について解説していきたいと思います。
この記事を最後まで読んでいただくと
・歯周病のセルフチェック
・歯周病の進行の仕方
・歯周病の予防方法
・歯周病の治療法
などが分かるようになります。
最後まで読んで、正しい歯周病の知識を身につけ予防と早期発見・早期治療に役立てもらえますと幸いです。
歯周病ってどんな病気?
歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症です。
炎症によって歯の周りの歯肉や、歯を支えている骨などが溶けて最終的には歯を失ってしまう可能性のある恐ろしい病気です。
初期の段階では自覚症状がなく、気がつきにくいため気がついたときには重症化していたということも事も多いです。
歯周病はなぜ危険なの?
歯を失う原因で最も多いのは「むし歯」ではなく「歯周病」です。
成人の約8割は歯周病に罹っているといわれています。
歯周病によって歯を失う方は35歳ごろから増加し、45歳以降では、むし歯を抜いて歯を失う主原因のトップになっています。
歯周病は今や生活習慣病のひとつとも言われていますが、そのまま放置しておくと以下のような全身疾患を引き起こす引き金にもなりかねないおそろしい病気です。
糖尿病
歯周病菌が血流を通し全身に送られることにより糖の代謝を妨げたり、すい臓で作られるインスリン(血中の糖濃度を下げるホルモン)の働きを弱めます。
糖尿病が悪化することにより、糖尿病の合併症(網膜症、腎臓病、神経障害など)の発症リスクも高まります。
心臓血管疾患
歯周病菌が血液中に侵入し、血管の狭窄をきたし狭心症や心筋梗塞の発症リスクが高まります。
早産・低体重児出産
歯周病菌や炎症性反応物質が血管を通し、子宮筋に作用して子宮の収縮を早めることで早産や低体重児出産のリスクが高まると言われています
早期に発見し、歯科医院での治療とご自宅でのケアをすることで長くご自分の歯で食事を楽しみ健康寿命を伸ばすことが可能になります。
歯周病の原因
歯周病を引き起こす主な原因はプラーク(歯垢)の中の細菌です。
歯周病原性細菌から出される毒素によって歯周ポケットが作られます。
歯周ポケットは細菌にとって住みやすい環境となっており、その中では歯周病原性細菌が毒素をどんどんつくり出し、歯周病を悪化させていきます。
歯周病が悪化すると歯ブラシを当てただけで痛み、出血するようになり、ブラッシングがおろそかになります。
そうなると、さらに歯周病が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。
また口臭もきつくなります。
歯周病のセルフチェック
歯周病は簡単なセルフチェックでも確認できる場合が多いです。
当てはまることがないかチェックしてみてください。
✓出血がある
✓歯ブラシを当てただけで痛みがある
✓歯磨きをしても口臭がある
✓歯が長くなったように感じる
✓噛み合わせが変わったように感じる
✓膿が出る
✓歯がグラグラする
歯周病の進行
歯周病は、初期段階では自覚症状がほとんどないことが多く、ご自身でも気づかないうちに進行してしまうことがほとんどです。
何度も繰り返しになりますが、歯周病は早期発見・早期治療が何よりも大切になります。
✓歯肉が腫れている気がする
など普段と違う違和感に気がついた時点で、すぐに歯科医院でみてもらうことをおすすめします。
歯周病の治療
歯周基本治療
歯周基本治療とは、歯周病の原因となる歯垢や歯石を除去し、歯周病になりにくい状態を作るために行う治療です。
当院では治療にマイクロスコープ*を使用し、肉眼では見えない細かい部分の汚れまで徹底的に除去します。
歯と歯茎の間や歯周ポケット付近など、特に汚れが溜まりやすい場所は重点的なチェックを心がけております。
治療を担当するのは、歯周病の専門知識を多く持つ歯科衛生士ですので、どうぞご安心ください。
*マイクロスコープとは歯科用の顕微鏡。
マイクロスコープを使うと肉眼の2倍~24倍に拡大して診ることができます。
歯科用ルーペが約6~8倍ですから3倍の拡大率です。
そのため、より正確でより精密に、そして安全に治療を行うことができます。
ポケット除去/歯肉弁根尖側移動術
歯肉弁根尖側移動術(アピカリー・ポジションド・フラップ)とは、歯肉を切ってフラップ(歯肉弁)を作り、根尖側に移動させて縫合をする歯周病の治療法です。
院長がアメリカの歯周病学会メンバーの勉強会で習得した医療技術です。
この術式により深さが6~7mmに達している歯周ポケットの除去を行います。(中度の歯周病)
治療前提としては、正しいブラッシングができる方、きちんと歯肉が収まっている場合などの諸条件がつきます。
オペの場合はなくす方法と切る方法があり、部位によっては温存タイプの術式を選択し、奥歯であれば切る方法を選択します。
歯肉弁根尖側移動術は切除するその最たる治療法です。
これにより、歯が磨きやすくなり、結果として歯が長持ちし、動揺もなくなる効果が得られます。
歯槽骨の再生療法
歯周病によって失われてしまった歯周組織(歯槽骨や歯根膜など)の再生療法です。
歯周病の進行により深いポケットができてしまった場合に、歯を支える骨を再生する手術ですから、技術と知見が要求されます。
また心臓病や腎障害などの全身疾患がない、歯の動揺がないなどの諸条件がつきます。
実際のオペではマイクロスコープを使用して、ていねいに精密に治療します。
術後、骨は半年くらいで再生されます。
一度はあきらめかけた歯が、こうした再生療法によって機能回復されるのです。
ルートカバリング(歯根カバー:歯肉結合移植)
歯周病が進行し、歯の根っこが露出してしまっている場合に、結合組織を他の部位からもってきて移植し、歯の表面を覆ってあげる術式です。
またFGG(遊離歯肉移植術 )といって上あごなどの歯肉を移植して、歯根の周囲の歯肉を増やす方法もあります。
院長はこの手術を得意とするフランスのドクター・ロッコから直接さまざまなテクニックを学び、いまではムクノキ歯科の治療法の一つとして確立しています。
歯周病の予防
歯周病予防は予防することができます。
また、歯周病になる前の歯周炎の時点で気がつくことができれば簡単な治療で終わることが多いです。
まだ歯周病になっていないという方は以下の予防法を徹底してご自身の歯を守っていくことが大切です。
予防法①毎日の丁寧な歯磨き
一番大切なのは毎日のご自宅でのセルフケアです。
歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスも使い、歯垢を徹底的に除去しましょう。
強くゴシゴシ磨くのではなく、柔らかい歯ブラシを使ってゆっくり優しく磨いていきます。
歯科医院で正しいブラッシング指導を受けましょう。
予防法②歯科検診
3ヶ月に1度を目安に歯医者で定期的に歯や歯周ポケットの健診やお掃除を受けることで、歯垢や歯石を除去し、歯周病を予防できます。
予防法③PMTC
歯科衛生士による専門的な歯面清掃クリーニングを受けることで、歯周病の進行を遅らせることができます。
まとめ:歯周病は自分で防げる!
歯周病は、自分では気がつきにくい上に、気がついたときには症状が出ている=進行している場合が多い厄介な病気です。
予防を徹底しならないようにする事が一番ですが、もしなってしまったかもと思ったら早めに歯医者でみてもらい治療を開始することが大切になります。
早期の歯周病であれば、簡単に治療期間も短く、治療費も安価で済む場合が多いです。
逆に中度〜重度の歯周病になってしまうと治療期間も長く治療費も高額になり治療の選択肢も限られてきてしまい最悪の場合、歯を失うことになってしまいます。
また、重度になるまで歯周病を放っておくことによ歯周病菌が身体中に回っておりさまざまな疾患を起こす可能性もあります。
早期発見・早期治療でご自身の歯と身体の健康寿命を伸ばしていきましょう。