「朝起きたときの口臭がきつい」
「娘に口が臭いと言われた」
「部下との会話中、自分の口臭が気になった」
このような経験をして、お悩みの方も多いのではないでしょうか?
自分の口臭は、気づきにくいので、相手に不快な思いをさせていないか、心配になりますよね。
この記事では、歯科衛生士の高橋が、口臭の原因や予防法についてご紹介します。
最後まで読んで実践できれば、口臭に対する悩みが解決し、においを気にせず会話を楽しめるようになります。

口臭には4つの種類がある
口臭には、4つの種類があります。
・生理的口臭
・病的口臭
・心理的口臭
・嗜好品による口臭
それぞれの口臭について、解説します。
生理的口臭
生理的口臭は、老若男女誰にでもある口臭です。
生活習慣や精神状態によって、本能的に起こります。
生理的口臭は、唾液が持つ自浄作用が低下するときに引き起こされる傾向があります。
特に、以下の状態になったときに起こりやすいです。
・起床時
・空腹時
・緊張している時
・年齢が上がり唾液量が減った時
・ホルモンバランスが変わる時(女性特有)
病的口臭
病的口臭は、歯医者で治療対象になる口臭です。
歯科医院を受診することで、口臭の原因の解明や、解消のための治療を行います。
また、口腔内の疾患だけでなく、耳鼻咽喉科や内科の受診が必要なケースもあります。
心理的口臭
心理的口臭は、口臭がないにもかかわらず、あると思い込んでしまう病態です。
「神経症性障害」や「精神病性障害」と分類されます。
精神疾患による幻覚や妄想が原因のため、心理的口臭の場合は心療内科などの受診が必要です。
嗜好品による口臭
タバコやアルコール、にんにくを多く含む料理などの摂取によって、発生する口臭もあります。
食後のにおいは、口臭の種類の中でも、特に意識している人が多いでしょう。
人と会う前に食べないようにしたり、歯磨きをしたりなど、エチケットとして浸透しています。
嗜好品による口臭は、一時的なものであり、時間の経過で軽減されるため、治療の必要はありません。
ただし、タバコに関しては、口臭以外に歯周病のリスクが高まるので、気をつけてください。
病的口臭をまねく5つの原因
口臭の原因である口腔トラブルを、5つ紹介します。
舌苔(舌の汚れ)
口臭のほとんどが、舌苔(ぜったい)が原因であると考えられています。
舌苔とは、舌の上にある白いコケ状の付着物のことです。
舌苔の付着する範囲は、舌全体に広がったり、奥の方など一部にだけ付いたりなど、個人差があります。
舌苔は、口臭のもととなるガスを発生させるため、付着の量が多いことで口臭が強くなる傾向にあります。
歯周病
歯周病の症状の一つとして、口臭があげられます。
歯周病の原因となる細菌が作り出す「メチルメルカプタン」というガスが、においの原因です。
歯周病が進行すると、細菌が増え、腐った玉ねぎのようなにおいが強くなる場合があります。
むし歯
むし歯が進行すると歯のたんぱく質が腐り、溶けた歯のにおいや繁殖するむし歯菌などのにおいがすることがあります。
神経まで到達してしまうような大きな虫歯となると、さらににおいも強いです。
また、むし歯を治療した歯の詰め物や、被せ物が合っていなかったり、古くなったりすると、細菌が増殖します。
口臭の原因だけでなく、むし歯にもなりやすいので、再治療も検討しましょう。
歯石
歯茎のきわや、歯茎の中まで歯石が付くことで、においの原因になります。
歯に付着している歯石は、表面がザラザラしているため、汚れが付くことで口臭が強くなります。
ドライマウス(お口の乾燥)
生理的口臭に関係しており、唾液の分泌量が減ることで、口臭が発生します。
口の中が乾燥すると、細菌の活動が活発になり、口臭に繋がると言われています。
自分の口臭の確認方法
人には聞けない自分の口臭を、確認する方法があります。
まずは、セルフチェックを行って、自分の口臭を認識しましょう。
セルフチェックをしてもよくわからなくて心配という方は、お気軽にムクノキ歯科にご相談ください。
簡単なセルフチェック方法
口臭を自分で確認する方法として、以下の4つがあります。
・ビニール袋に息を吐いて嗅ぐ
・唾液を指でとりにおいを確認
・舌表面の色を確認
・市販の口臭チェッカーの使用
自分のにおいに慣れており、臭覚が鈍感になっている場合があるので感じにくい可能性もあります。
手軽に確認できる方法なので、試しに行ってみてください。
歯科医院で口臭確認
口臭の原因には種類があり、においは特徴的でそれぞれ違います。
経験豊富な歯科医師や歯科衛生士であれば、においの区別がつき、口腔内の状況と照らし合わせて判断可能です。
歯科衛生士おすすめの口臭対策3選
ムクノキ歯科の歯科衛生士がおすすめする口臭対策を、3つ紹介します。
丁寧な歯磨き
口臭予防には、丁寧な歯磨きが効果的です。
丁寧な歯磨きとは、歯ブラシの他に、フロスや歯間ブラシ、舌ブラシの併用がおすすめです。
また、入れ歯やブリッジが入っている人は、菌の繁殖しやすいところなので、念入りにお手入れするようにしましょう。
ムクノキ歯科では、予防歯科に力を入れているので衛生士によるブラッシング指導も行っています。
フロスと歯間ブラシ
1日1回は、フロスや歯間ブラシを使って、歯と歯のすき間の汚れを取り除くようにしましょう。
歯ブラシだけの歯磨きでは、約60%の汚れしか落ちないと言われています。
フロスや歯間ブラシを併用することで、約90%もの汚れを落とし、歯石の付着を軽減させます。
歯間ブラシは、隙間の幅によって4S~LLサイズがあり、太さが間違っていると、歯茎を傷つけてしまう恐れがあります。
痛みを感じたら無理に使用せず、歯医者に相談してください。
舌磨き
口臭の原因である舌苔を取るために、舌磨きを行いましょう。
舌専用の柔らかいブラシがおすすめです。
通常の歯ブラシでは、舌を傷つけてしまう恐れがあるため、使用は避けてください。
舌磨きは、奥から手前に向かって、優しく撫でるように行います。
2~3回磨いたら水洗し、合計10回程度磨いてください。
嘔吐反射がある人は、舌磨きがつらい場合があるので、無理のない範囲で行いましょう。
歯医者でのクリーニング
ホームケアだけでは、すべての汚れは取り切れないので、歯医者できれいに落とすことが重要です。
歯医者でクリーニングすることで、口臭に加え、歯周病の予防や着色汚れを解消します。
歯医者で約3ヶ月に一度、PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)という専門家による機械を使用したクリーニングを行うことが、推奨されています。
唾液腺マッサージ
口臭の原因であるドライマウスを緩和するために、唾液腺マッサージがあります。
唾液の量は、年齢とともに減ってしまうので、マッサージを行って分泌を促すことが大切です。
口腔内には、
「耳下腺(じかせん)」
「顎下腺(がくかせん)」
「舌下腺(ぜっかせん)」
という唾液が出やすいポイントが3つあります。
3か所をマッサージして、唾液の分泌量を増やし、お口の乾燥を防ぎましょう。
1分あればできる唾液腺マッサージのやり方
簡単にできる唾液の分泌を増やすマッサージは、以下の順で行います。
・4本の指で耳の横の顎の付け根辺りを押さえ、後ろから前に円を描くように動かす
・親指で耳の下から顎の骨の内側に沿って、少しずつずらしながら顎先まで押す
・両手親指を顎の下で揃えて、顎の下から上に向かって押す
画像引用:一般財団法人日本口腔保健協会冊子「口からはじまる全身の健康」
歯医者で解決できない口臭もある
歯医者で口腔内の状態を整えても、口臭が解決されないケースがあります。
お口の中の問題ではなく、別に疾患があることによって口臭が引き起こされます。
どのような疾患があるか、解説していきます。
副鼻腔炎
副鼻腔炎になると、魚や生ゴミのような生臭いにおいがすることがあります。
鼻水が細菌を洗い流すために、鼻水が大量に作られるからです。
後鼻漏(こうびろう)という症状によって、鼻水が喉の方へと流れ込み、一緒に溜まった膿が口臭となって現れます。
糖尿病
糖尿病と口腔内の疾患は関連性も高く、糖尿病の症状の一つとして言われるのが口臭です。
甘酸っぱいにおいがしたら、糖尿病の可能性があります。
たんぱく質や炭水化物が不足すると、自分の身を守るために脂肪が燃焼されて脂肪酸に変化し、においを放ちます。
ムクノキ歯科では、栄養指導も行っているため血液検査による体内の現状を数値で把握することも可能です。
逆流性食道炎
口臭が酸っぱいにおいのする場合、逆流性食道炎が考えられます。
胃液には、強力な酸が含まれているため、逆流することによって喉からにおいが上がってきます。
また、胃に関する別の症状でも、においがするケースがあります。
胃炎や十二指腸潰瘍になると、胃の中で食べたものが未消化のまま停滞し、発酵することで腐った卵のようなにおいを感じることがあるでしょう。
まとめ:口臭に悩んだら恥ずかしがらずに歯医者に相談を
今回は、口臭の原因と抑える方法について解説しました。
自分では気づきにくい口臭ですが、誰にでもあります。
歯科医師や歯科衛生士は、多くの人の口腔内を見てきており治療を何件もこなしているので、「恥ずかしい」と受診を悩む必要はありません。
口臭で悩んでいる人に自宅で実践していただきたいことは、以下の通りです。
・フロスや歯間ブラシの使用
・舌磨き
・歯医者での定期的なクリーニング
上記ができることで、口臭の予防や衛生的な口腔内を実現できます。
ホームケアを習慣化するのは、簡単なことではないかもしれません。
フロスや舌みがきが週1回できるようになったら、次は週2回と回数を増やしてチャレンジしてみましょう。
丁寧な歯磨きが習慣になれば、結果として口臭以外にも身体に良い結果を招きます。
ホームケアだけでは、口臭が気になるという方は、ムクノキ歯科にお気軽にご相談ください。