「親知らずが傷んできた」
「親知らずって抜いた方が良いって聞いたことがあるけど本当?」
「親知らずっていつ抜いたらいいの?」
などお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事を最後まで読んでいただくと
・抜いた方が良い親知らずと抜かない方が良い親知らず
・親知らずを抜くタイミング
・親知らず抜歯後の注意点
などが分かるようになります。
この記事では親知らずについてムクノキ歯科の院長の椋木アレンが解説していいますのでぜひ参考にしてください。
親知らずとは
親知らず(おやしらず)とは、大臼歯(大人の奥歯)の中で最も後ろに位置する歯のことです。
左右どちらも前歯から数えて8番目にあります。
永久歯(大人の歯)の中で最後に発育します。
永久歯は通常15歳前後で生え揃いますが、親知らずは生える時期が概ね10代後半から20代前半であり、親に知られることなく生えてくる歯であることがその名前の由来だとも言われています。
親知らずは抜いた方が良い?
ムクノキ歯科では親知らずは基本的に3パターンで考えています。
②敢えて抜く必要がない親知らず
③抜いた方が良い親知らず
①抜かない方が良い親知らず
抜かない方が良い場合もあります。
以下の要件を満たす場合は抜かない方が良い親知らずです。
ただし、ご自身の親知らずがどのような状態なのかを判断することは難しいので歯科医院で見てもらうのが良いでしょう。
真っ直ぐに生えている場合
他のは歯と同じように上下左右でしっかりと生えて噛み合わせに問題がない場合は親知らずを無理に抜く必要がなく、大切にすることで、将来的に歯の移植として使える場合があります。
このような親知らずは残した方がよいですがなかなかいないのが現実です。
しっかりと噛み合わせができている場合
他の歯と同じように、その歯でもしっかり咀嚼ができている場合です。
きちんと磨くことができる場合
他の歯同様にきちんとセルフケアで隅々まで磨くことが出来る場合です。
②敢えて抜く必要がない親知らず
将来的にも問題にならない親知らず
レントゲン・CTを確認し、将来的にも問題にならないと思われる歯もありますのでその場合は敢えて抜く必要はないでしょう。
③抜いた方が良い親知らず
ではどのような親知らずだと抜いた方が良いのでしょうか?
将来的に問題を起こすであろう親知らずは確実に早く抜いた方が良いです。
斜めに生えている親知らず
親知らずが斜めに生えていると、毎日のセルフケアで歯の間に磨き残しができやすく、そこから歯周病や虫歯といった病気になりやすくなります。
他の歯を押している親知らず
親知らずが生えていることによって他の歯を押してきている場合があります。
そのような場合は噛み合わせや歯並びが悪くなってしまう原因になるため抜いた方が良いです。
真横に生えていて隣の根っこを押している親知らず
手前の歯の根っこを吸収してしまい、ほぼ自覚症状がなく進みます。
ある日突然痛くなり歯科医院を受診した際には、歯を失う可能が高くなります。
自覚症状がなく進行してしまうので、この場合が一番危険と考えています。
痛みや腫れ(智歯周囲炎)を起こしている場合
このような場合は、なるべく早めに歯科医院で抜いてもらいましょう。
放っておくと親知らずから頬や喉にまで病原菌が及んでしまう可能性があります。
親知らずを抜くタイミング
親知らずは抜くタイミングがとても大切になってきます。
一番良いのは、定期検診や他の歯の治療などの際にCT・レントゲンで歯科医師に確認してもらい抜くべきなのか抜かなくて良いのかを判断してもらうことです。
そして歯科医師に抜歯を勧められたらなるべく早く抜いてしまうことです。
以下、2点は良くある抜歯タイミングですが余計痛みが大きくなってしまう場合があります。
痛みが出てから抜くパターン
親知らずは痛くないから今は取る必要がないだろう。
痛みが出たら親知らずを抜こう。
と考えている方が非常に多いと思います。
ムクノキ歯科の患者様も痛みを訴えて抜歯にいらっしゃる方が多いです。
しかし、痛みが出ている=炎症が起きているか腫れているかのどちらかになるかと思います。
そこに更に、抜歯操作を加えるのは傷口に塩をぬるような行為になってしまい麻酔が切れると更に痛み・腫れが増大してしまいます。
なるべく後回しにするパターン
怖いから‥
痛みがないから‥
と後回しにしてしまいがちになります。
年齢と共に根っこと骨が密着してしまうため、抜歯をする際に余分な痛みと時間がかかってしまいます。
また、抜歯後の骨も戻りにくくなります。
親知らずの抜歯後の注意点
抜歯をした箇所は非常にデリケートになっていますので抜歯箇所に刺激を与えないことが大切です。
それぞれを解説していきます。
直後
抜歯をした直後は麻酔の効いている状態です。
そのためお口の中の感覚がないことが多いため、頬や唇を噛んでしまいやすいので注意してください。
麻酔は約1〜3時間かけて徐々に切れていくので時間と共にお口の感覚が戻っていきます。
麻酔が効いているうちは熱さも感じにくいため、火傷や思わぬ怪我を防ぐためにもお食事も麻酔が完全に切れてからの方が良いでしょう。
当日
当日は注意していただきたい点が何点かあります。
抜歯箇所を触らない
麻酔が切れてくると徐々にお口の中の感覚が戻ってきます。
抜歯した箇所が気になってしまうと思いますが、指や舌などで抜歯箇所に触れると炎症の原因になってしまいます。
また、縫いあわせている糸が取れてしまう場合もあります。
抜歯箇所は非常に繊細なので触れないよう気をつけてください。
血が口に中に混じり気持ち悪いかもしれませんが強いうがいは、当日〜1週間程度は避けてください。
この時期に強くうがいをしてしまうと後述しますドライソケットになってしまう可能性があります。
処方された薬を要領を守って服用する
麻酔が切れてくると痛みが出てくると思います。
処方された痛み止めを量を守って服用してください。
処方された抗生物質は食後に容量を守って飲み切ってください。
痛みは当日〜3日くらいでピークを迎えその後徐々に軽減していきます。
5日程度しても痛みが一向に良くならない場合、抜歯をおこなった歯科医院に連絡してみるのが良いでしょう。
腫れている場合は冷やす
腫れは当日〜4日程度がピークとされています。
当日〜24時間程度は腫れている箇所を冷たいタオルなどで冷やしましょう。
直接氷などで冷やしてしまうと血流の流れが悪くなり治癒に時間がかかってしまう場合があります。
激しい運動・長時間の入浴は避ける
血流の流れが良くなってしまうと、抜歯時に止血した箇所から再度出血する原因となってしまいます。
当日〜3日程度は安静にしてください。
アルコールやタバコの摂取も控えていただきたいです。
歯科医院へ連絡した方が良いケース
個人差はありますが痛みや腫れは約1週間程度で収まってくることが多いです。
抜歯後、数日経って突然痛みが強く出た場合・数日経っても一向に痛みが引かない場合・痛みが日増しに強くなる場合はドライソケットになっている可能性があります。
ドライソケットとは?
抜歯後、歯を抜いた穴には血液が溜まりその血液が傷口を塞いでいってくれます。
しかし、気になって強くうがいをしたりしてしまうとその傷口を修復・治癒してくれるはずの血液が流れていってしまいます。
すると、歯を抜いた穴を修復・治癒してくれる栄養分がないため穴が開いたままになり炎症を起こしてしまいます。
この状態をドライソケットと言います。
ドライソケットを放置していると炎症などを起こしてしまうため歯科医院へ連絡をして受診した方が良いでしょう。
親知らずの抜歯後の食事
抜歯後は、痛みが強く食べ物も噛みにくくあまり食べたくないという方も多いのではないでしょうか?
しかし、実は抜歯後は普段にも増して栄養素をしっかりとると必要があります。
抜歯後は、怪我をしている状態なのでバランスの良い栄養が治癒を早めてくれます。
ここでは経過ごとにおすすめの食べ物をご紹介していきます。
当日〜3日目
うどんやお粥など・にゅうめんなど味が薄くて柔らかく噛む回数の少ない食べ物がお勧めです。
可能であれば、インスタントなものではなくできる限りスープに栄養のある方が好ましいです。
その際にはやゲドの原因となるので熱さに注意し、抜歯した箇所の反対側で噛むようにしましょう。
抜歯後はまだ歯茎に穴が空いている状態なので、そこに食べ物が詰まってしまうと炎症の原因となってしまいます。
この期間は傷口を修復・治癒してくれるはずの血液が流してしまいドライドケットになる可能性がある為まだ通常の歯磨きもお勧めしていませんので穴に詰まりにくいものが良いでしょう。
4日目以降〜1週間
痛みが治り始めてきたら通常の食事に向けて徐々に戻していきます。
まだまだ穴は塞がっていませんので、カレーなどの香辛料の強いものや唐辛子など刺激の強いものは避けた方が良いしょう。
1週間もすると穴は閉じてきていますので通常の食事に戻していただいて問題ありません。
この時期に特に摂取していただきたい栄養素はタンパク質・ビタミンB群・ビタミンC・亜鉛等です。
親知らず抜歯後のよくある質問
ここでは親知らずを抜歯した後のよくある質問をQ&A形式でお答えしていきます。
仕事は休まないといけませんか?
親知らずの生え方と抜歯の状況によって変わります。
簡単な親知らずの抜歯ですと休まなくても問題ありません。
翌日から通常勤務をおこなっていらっしゃる患者様も多くいらっしゃいます。
しかし、骨を削ったり外科的な侵襲度の高い抜歯になると1日程度のお休みをとっていただいた方が良いでしょう。
予後も痛みが全く治らないなどあまり良くない場合は更にお休みをとることになります。
いずれにしても1週間程度は大切な用事は入れない方が無難です。
処方された痛み止めを飲み切ってしまっても痛みが治らない場合は市販の痛み止めを飲んでも良いですか?
市販薬の容量を守って飲んでいただく分には問題ありません。
痛いからと言って容量を守らずに飲み過ぎてしまうと胃炎などを引き起こす可能性がありますので必ず容量は守るようにしましょう。
心配な場合は、事前に痛み止めを多めにもらえるかを抜歯予定の歯科医院に聞いておくことをお勧めします。
5日経っても痛みが収まりません。ドライソケットですか?
痛みの長さには個人差がかなりありますので5日程度では判断しにくいです。
抜歯後の痛みの場合もありますしドライソケットの場合もあります。
通常、鈍痛は一週間程度続きます。
ただし、5日程度経って急激に痛みが強くなった場合などは歯科医院に連絡をしてみた方が良いでしょう。
まとめ:抜歯後は食事や生活習慣が予後を左右する
親知らずの抜歯の必要性が歯科医院で認められたら抜歯を行いましょう。
抜歯後は、安静に過ごし処方された抗生物質を飲み切ることも大切です。
アルコールや喫煙などは避けて食事内容も刺激が少なく柔らかいものが好ましいです。
強いうがいや強い歯磨きも避けて患部に触らないことが早期治癒に繋がります。
痛い・怖いというイメージの強い親知らずの抜歯ですが、抜歯した方が良いのにしないままにしておくと歯周病などの原因になりかねません。
ムクノキ歯科では重篤なケースの場合、直接大学病院へ紹介・連携する体制が整っておりますので安心してご相談ください。
痛くないから大丈夫なのかな、など自己判断はせずにはせずに歯科医院の定期検診などの際に歯科医師に質問してご自身の歯の健康を大切にしていきましょう。