
「4番の歯に虫歯があります」
「歯の動揺度は1です」
上記のような数字を歯科検診で聞いて、気になった経験がある人も多いでしょう。
歯医者では、お口の状態を「数字」で管理しています。
歯の番号から虫歯の進行度、歯周病の状態まで、すべてが数値化されています。
どの数字も口内の健康状態を正確に表現する重要な指標です。
この記事では、歯の番号や検診で使われる数字の意味、定期検診の重要性を、ムクノキ歯科の歯科衛生士である東山が解説します。
歯に関する数字の理解を深めることで、自分の口内の状態をより把握でき、適切なケアにつなげることができるでしょう。

歯の番号とは?|歯科で使われる数字の基本を理解しよう

歯医者では、歯の番号から虫歯の進行度まで、あらゆる情報を数字で管理しています。
歯の番号と他の診断データと組み合わせることで、お口の状態を客観的に把握できるのです。
まずは歯科で使われる数字の基本的な意味を理解しましょう。
歯番号は「住所」のようにどの歯かすぐに特定できる
歯の番号は、「歯の住所」のような役割を果たします。
人の永久歯は最大32本存在し、それぞれに固有の番号が割り振られています。
右上が1・左上が2・左下が3・右下が4と4つに区切られ、さらに前歯から奥歯にかけて、1~8番まで一本ずつ数字がついています。
歯番号により歯科医師や歯科衛生士は、どの歯について話しているのかを正確に特定が可能です。
例えば、「右上の奥歯」と言われても、具体的にどの歯を指しているのか曖昧になってしまいます。
歯番号を活用して「16番の歯」と言われれば、右上の第一大臼歯であることが正確に特定できます。
この歯の数字が、適切な治療や管理を可能にしているのです。
歯医者は数字でお口の状態を管理している
現代の歯科医療では、お口の状態のほぼすべてが数値化されて管理されています。
歯の番号だけでなく、虫歯の進行度、歯周ポケットの深さ、歯の動揺度など、様々な項目が数字で記録されているのです。
数値化により、治療の経過を客観的に追跡でき、複数の歯科医師間での情報共有もスムーズに行えます。
また、患者さん自身も自分のお口の状態を具体的に把握しやすくなります。
歯の番号の数え方とFDI方式の表記方法

歯の番号付けには国際的に統一されたルールがあります。
従来のZsigmondy方式との違いも含めて、正確な番号の読み方を解説します。
FDI方式と左右上下のルール
現在、日本の歯科医療で最も広く使用されているのがFDI方式(国際歯科連盟方式)です。
FDI方式では、口内を患者様から見て4つの区域に分け、各歯に2桁の番号を割り振ります。
- 右上を「1」
- 左上を「2」
- 左下を「3」
- 右下を「4」
なお、それぞれの区域のことを「象限(ぞうげん)」と呼びます。
各象限内では、歯は一本ずつに番号が振られ、前歯の中央から奥歯に向かって1番から8番で表されるのです。
- 中切歯
- 側切歯
- 犬歯
- 第一小臼歯
- 第二小臼歯
- 第一大臼歯
- 第二大臼歯
- 第三大臼歯(親知らず)
FDI方式により、世界中の歯科医師が同じ番号で歯を特定できるようになっています。
FDI方式とZsigmondy方式の違い
FDI方式以前によく使われていたのがZsigmondy方式です。
Zsigmondy方式では、象限を線で区切って表記し、各象限内で1番から8番まで番号を振ります。
Zsigmondy方式では視覚的にわかりやすい利点があり、現場で手書きの際に使用されています。
しかし、PC入力やデータ管理の面で不便であることから、現在はFDI方式が主流といえるでしょう。
乳歯と永久歯の番号の違い

乳歯と永久歯では異なる番号の呼び方が使用されています。
乳歯は永久歯よりも本数が少なく20本のため、呼び方があるのは5番目までです。
生え変わり時期には同じ位置でも番号が変わり、新たに大臼歯が加わるなど、成長に伴う番号の変化を理解しましょう。
乳歯はアルファベット表記
乳歯の表記では、日本ではA~Eまでのアルファベットが使用されます。
- A:乳中切歯
- B:乳側切歯
- C:乳犬歯
- D:第一乳臼歯
- E:第二乳臼歯
なお、国際的なFDI方式では乳歯の象限番号として右上5、左上6、左下7、右下8を使用し、「51番」「75番」のように表記されることもあります。
生え変わりと番号の変化
乳歯から永久歯への生え変わりは、同じ位置でも表記方法が変わるのです。
例えば、乳歯のA(右上乳中切歯)が抜けて、永久歯の11番(右上中切歯)が生えてくるというように表記されます。
また、永久歯には乳歯にはなかった6番、7番、8番(大臼歯)が新たに生えてきます。
特に6番の第一大臼歯は「6歳臼歯」と呼ばれ、永久歯列の要となる重要な歯として位置づけられているのです。
虫歯の進行度を表す分類C0~C4

歯科医療では、虫歯の進行度をC0〜C4の5段階で分類しています。
この分類は治療計画の立案や患者説明において重要な役割を果たします。
各段階の病態について詳しく見ていきましょう。
C0:初期の虫歯(脱灰)|削らず治せる段階
C0は虫歯の最初期段階で、歯の表面のエナメル質が脱灰(だっかい)している状態です。
脱灰している段階では、まだ歯に穴は開いておらず、適切なフッ素塗布や生活習慣の改善により、削らずに経過観察で過ごすことも可能です。
見た目には白っぽく濁って見えたり、茶色っぽく変色していたりすることがありますが、痛みなどの自覚症状はありません。
定期検診で発見されることが多く、予防的な処置で進行を止められる貴重な段階といえます。
C1〜C4の違いと、治療内容の目安
C1〜C4の違いは以下の通りです。
- C1:虫歯がエナメル質に限局。小さな詰め物で治療可能
- C2:虫歯が象牙質まで到達。冷たいものがしみる症状が現れ、詰め物や被せ物による治療が必要
- C3:虫歯が歯の神経(歯髄)まで到達。激しい痛みを伴い、神経の治療(根管治療)が必要
- C4:歯の大部分が崩壊した状態。多くの場合は抜歯が避けられない
C2以降になると、冷たいものや甘いものがしみるなどの自覚症状が現れ始めます。
しかし、痛みがあってもしばらくすると治まるケースも多いため、つい放置してしまいがちです。
C3、C4の段階になると、神経の処置や抜歯が必要になる可能性が高くなります。
早期発見・早期治療が重要で、定期検診でC0やC1の段階で発見できれば、簡単な治療で済ませられるのです。

歯周ポケットの数字で深さで歯茎の健康がわかる

歯周ポケット測定は、歯周病の進行度を客観的に把握する重要な検査です。
歯周病に関する検査の数字について解説します。
歯周ポケット測定で歯周病の進行をmm単位で管理
歯周ポケット測定は、歯と歯茎の境目にある溝の深さ(歯肉溝)を専用の器具で測る検査です。
健康な歯茎では、歯肉溝の深さは1〜3mm程度ですが、歯周病が進行すると溝が深い状態になります。
また測定の際に出血があると、歯肉炎という歯茎に炎症がある状態と判定できるでしょう。
この数値により、歯周病の進行度を客観的に把握でき、適切な治療方針を立てることが可能になるのです。
「4mm以上」は歯周病がはじまっているサイン
歯周病は一般的に、歯周ポケットの深さが4mm以上になると歯周病の始まりとされ、年齢を重ねるごとに歯周病のリスクは高まるのです。
4〜5mmは軽度から中程度の歯周病、6mm以上は重度の歯周病として分類されます。
ポケットが深くなるほど、歯を支える骨(歯槽骨)の欠損が進んでいることを意味します。
また、深いポケットは細菌の温床となりやすく、炎症がさらに悪化する悪循環に陥る傾向が高いです。
歯の動揺度(グラつき)は1〜3のレベルで評価

動揺度は、歯のグラつき具合を0〜3の4段階で評価する指標です。
動揺度0は健康な状態、1はわずかな揺れ・2は指で触れても動きを感じる状態・3は大きく動いて噛むことが困難な重篤な状態を表します。
数値が高いほど歯を支える組織の破壊が進んでおり、抜歯の可能性も高くなります。
それぞれについて解説します。
動揺度1:わずかな揺れ
動揺度1は、器具で触った時にわずかに動く程度の生理的な状態で、まだ日常生活には支障がない段階です。
動揺度1の段階では、歯周病の治療や適切なケアにより、動揺を改善できる可能性があります。
定期的なメンテナンスと正しいブラッシングにより、進行を食い止めるケアが重要でしょう。
動揺度2:歯周組織の欠損が進んでいる可能性
動揺度2になると、指で触れただけでも歯の動きを感じられるようになります。
歯の揺れは、歯を支える歯周組織の破壊がかなり進んでいることを示しています。
専門的な歯周病治療が必要な場合は、外科的な処置も検討され、治療期間も長期にわたる可能性があります。
動揺度3:抜歯の可能性もある重度
動揺度3は最も重篤な状態で、歯が大きく動き、噛むことも困難になります。
歯を支える組織の大部分が失われており、多くの場合は抜歯が避けられない状況です。
周囲の歯への影響を考慮して、できるだけ保存する治療法が検討されることもあります。
しかし、時間の経過とともにさらに揺れたり、最終的に自然に抜けたりするでしょう。
定期的な検診で数字の変化に気づく

定期検診の最大の価値は、数値の変化を継続的に追跡できることです。
数字で「見える化」することで、効果的な口腔健康管理が実現します。
前回の検診と比較して数値がどう変わったかを見ることで、治療の効果や病気の進行を客観的に評価できるのです。
自分では気づけない変化も数字なら見逃さない
お口の中の変化は、多くの場合ゆっくりと進行するため、自分では気づきにくいものです。
しかし、定期的に数値を記録していけば、わずかな変化も見逃すことはありません。
定期検診のより、早期治療が可能となり、大きな問題になる前に対処できるのです。
歯の健康を保つには定期検診とメンテナンスが必須
理想的な口腔内の状態は、虫歯がC0以下、歯周ポケットが3mm以下、動揺度が0という状態です。
歯の健康状態を維持するためには、日々のセルフケアだけでは限界があります。
定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケアが欠かせません。
歯科衛生士による専門的なクリーニングや、歯科医師による定期チェックにより、健康な状態を長期間維持していきましょう。
専門的なクリーニングである「PMTC」は、以下の記事で詳しく解説しています。
☞PMTCについて歯科衛生士が徹底解説丨 PMTCの効果や施術の流れを解説
3〜4ヶ月に一度数字で口内の変化を見える化
お口の健康維持には、3〜4ヶ月に1回の定期検診が推奨されています。
この間隔であれば、大きな変化が生じる前に治療箇所を発見でき、適切な対処が可能です。
定期検診では毎回数値を記録し、歯の変化を「見える化」することで、お口の健康管理をより効果的にします。
数字という客観的な指標から、患者様自身も自分のお口の状態を正しく理解し、適切なケアの継続に繋がるでしょう。
まとめ:歯の健康の値を維持するために定期検診を受けましょう

歯医者の数字は、お口の健康の値です。
歯の番号から始まり、C分類による虫歯の進行度、歯周ポケットの深さ、動揺度まで、すべてが数値化されて管理されています。
自分では気づけないわずかな変化も、数値として記録されていれば見逃すことはありません。
歯の変化を早期に見つけるために、ぜひ定期検診を習慣にしましょう。
3〜4ヶ月に1回、数字でお口の変化を確認する習慣が、将来の歯の健康を大きく左右します。
今日から始める口腔ケアが、10年後、20年後の笑顔を守ることにつながるのです。
ムクノキ歯科では、公式LINEやメールでのお問い合わせを24時間受け付けております。

