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歯磨きしているのに歯垢がつきやすい原因とは?リスクと解決策を解説

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歯磨きしているのに歯垢がつきやすい原因とは?リスクと解決策を解説|ムクノキ歯科

「毎日歯磨きしているのに、歯垢がつく理由ってなに?」
「口の中に歯垢が残っていて気持ち悪い」
このようなことで、歯磨きしても残っている歯垢を不快に感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、歯垢発生のメカニズムから効果的なケア方法まで、ムクノキ歯科の衛生士である高橋が、専門的な視点から詳しく解説します。

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歯につく歯垢(プラーク)とは?

歯垢のついた歯|ムクノキ歯科
歯の表面に付着する黄色や白色の柔らかい物質が「歯垢(プラーク)」で、「バイオフィルム」と呼ばれる細菌の集合体で形成されています。

歯垢は健康な口腔内でも常に形成され、毎日のブラッシングを行っていても、完全に除去できていないケースが多いです。

歯垢の発生メカニズム

歯垢の発生は、段階的に進行します。

まず唾液中のタンパク質が歯の表面に付着し、「ペリクル(獲得被膜)」と呼ばれる薄い膜を形成します。
ペリクルには歯を保護する役割もありますが、一方で細菌が付着する足場にもなるのです。

次第に口腔内に存在する細菌(主にレンサ球菌など)がペリクルに付着します。
細菌は粘着性の物質を分泌し、より頑丈に歯面に定着し、時間の経過とともに、様々な種類の細菌が集まって複雑な生態系を形成します。

歯垢と歯石の違い

歯垢と歯石は歯に付着する汚れですが、明確な違いがあります。

歯垢は柔らかく、ネバネバとした質感で、歯ブラシなどで比較的簡単に除去可能です。

一方、歯石は硬くざらざらとした質感で、歯ブラシでは除去できず、歯医者での専門的なクリーニングで取り除けます。
歯石は、歯垢が唾液中のカルシウムやリン酸塩などのミネラル成分と結合して石灰化したものです。
石灰化は、歯垢が2~3日程度放置されると始まります。

表面がざらざらしている歯石は、新たに歯垢がつきやすくなり、悪循環が生じてしまうのです。

歯垢がつきやすい場所

歯垢がついた歯|ムクノキ歯科

歯垢は、口腔内のさまざまな場所につく可能性がありますが、特に付着しやすい場所が存在します。
以下の6つの部分の歯磨きを意識することで、仕上がりが向上します。

①下の前歯の舌側
②歯と歯のすき間
③歯と歯肉の境目
④歯並びが悪い部分
⑤利き手側の歯の舌側
⑥奥歯の溝と裏側

歯磨きの際には、特に注意を払うべき場所についてそれぞれ解説します。

①下の前歯の舌側

下顎の前歯の舌側は、歯垢や歯石がつきやすい代表的な場所です。

唾液を分泌する舌下腺に近いため、唾液中のカルシウムやリン酸塩などのミネラルが歯石になりやすい部分です。
またブラッシングの際に見えにくく磨きにくいため、手の動かし方によっては歯ブラシが適切に届かないケースがあります。

②歯と歯のすき間

歯と歯のすき間も歯垢がつきやすい場所です。
歯ブラシの毛先はすき間に届きにくく、細菌が繁殖しやすくなります。

③歯と歯肉の境目

歯と歯肉の境目(歯肉溝)も歯垢がつきやすいです。
歯と歯肉の境目には、「歯肉溝」と呼ばれる溝があり、細菌が繁殖しやすく、歯ブラシがうまく当たりにくいのが特徴です。

歯肉溝に歯垢が蓄積すると歯肉炎が発生したり、歯周病が進行したりと悪影響をもたらします。
歯肉に炎症が起きると、さらに清掃が難しくなります。

④歯並びが悪い部分

歯並びが悪いところは個人差がありますが、歯垢がつきやすいです。
歯が奥まった位置にあったり、重なっていたりすると歯ブラシが細部まで届きにくい状態になります。

⑤利き手側の歯の内側

右利きなら右側の内側、左利きなら左側の内側は、歯垢がつきやすいです。
他の部位と比べて、歯磨きの際に手首を曲げる持ち方になるため、磨きにくくなります。

さらに下の歯の奥となると、舌もあるため歯ブラシの先が入りにくい特徴があります。

⑥奥歯の溝と裏側

奥歯の溝や、さらに奥の歯の裏側に歯垢がつきやすいです。
親知らずが斜めに生えている方は、周辺に汚れが溜まりやすく炎症に繋がる可能性も高いです。

歯垢がつきやすい原因

間食中に寝ている女性|ムクノキ歯科

歯に歯垢がつきやすくなる原因は、以下のようにさまざまです。

①生活習慣の乱れ
②不十分なブラッシング
③歯垢がつきやすい食べ物の摂取
④口呼吸による乾燥

自分に当てはまる要因を知ることで、効果的な対策ができるようになります。
ここで一つずつ確認しましょう。

①生活習慣の乱れ

生活習慣の乱れは、口腔内が歯垢のつきやすい環境になってしまいます。
例えば、不規則な食事時間や間食などにより、口腔内が常に酸性の状態になりやすいです。

酸性の状態が続くと、歯のエナメル質を徐々に溶かしていく恐れがあります。

また、睡眠不足は免疫機能の低下や唾液分泌量の減少につながりかねません。
さらに、喫煙の習慣がある方は、口腔内環境の悪化を促進します。

規則正しい生活を心がけることが、口腔内の健康維持に役立ちます。

②不十分なブラッシング

不十分なブラッシングや頻度が少ないと、歯垢を取り除ききれません。

短時間のブラッシングでは十分な清掃効果が得られず、力の入れすぎは歯肉を傷つけるだけでなく、歯の表面の汚れを落としきれなくなります。
歯の部位関係なく同じパターンの磨き方では、磨き残しに繋がる可能性も高いです。


適切な歯ブラシの選択も重要で、毛の硬さや形状が自分の口腔環境に合っていないと効果が低下します。

③歯垢がつきやすい食べ物の摂取

食べる食材によっては、歯垢のつきやすいものがあります。

糖分の多い食品や飲料は細菌のエサとなり、粘着性の高い食品(キャラメルやチョコレート、餅など)は歯に長時間付着します。
酸性の強い食品・飲料(炭酸飲料、柑橘系果物など)はエナメル質を弱め、歯垢がつきやすくなってしまうのです。

④口呼吸による乾燥

口呼吸を避けることは、歯垢予防において重要な要素の一つです。
口呼吸になると口腔内が乾燥し、唾液による自浄作用が低下します。

また、乾燥により細菌が増加しやすくなり、唾液によるミネラル供給が減少することで初期の虫歯の修復機能の低下も考えられます。

歯に歯垢がついたまま放置するリスク4選

歯に痛みを感じる女性|ムクノキ歯科

歯についた歯垢を放置すると、さまざまな口腔トラブルや全身の健康問題につながる可能性があります。

症状の進行を抑えたり、未然に防いだりするため早期の対処が重要です。
ここからは、考えられる4つのリスクについて解説します。

①虫歯の発生

歯垢を放置していると、虫歯のリスクが高まります。

歯垢内の細菌が糖を分解し、その過程で乳酸などの酸を発生させます。
発生した酸がエナメル質を溶かし出すと、エナメル質に穴が開いて象牙質や歯髄へ進行するのです。

歯垢自体は、直接虫歯を引き起こすわけではありません。
しかし、結果として虫歯リスクが高まります。

②歯周病の進行

歯垢が歯肉との境目に蓄積すると、歯周病が発症します。

初期段階では、赤みや腫れ、出血などが見られる「歯肉炎」が発生し、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)の破壊が始まる「歯周病」へと発展します。
重度の歯周炎になると歯がグラつき、抜け落ちることがあるため、歯周病のリスクを減らす必要があります。

③口臭の発生

歯垢に含まれる細菌は、口臭の主な原因です。

歯垢内の細菌がタンパク質を分解する過程で、硫化水素やメチルメルカプタンなどの悪臭の元となる揮発性硫黄化合物(VSC)が発生します。
舌の表面にも同様の細菌が付着し、「舌苔」を形成して口臭の原因となります。

また深い歯周ポケットは酸素が少なく、悪臭を発生させる細菌が繁殖しやすい環境のため、口臭に繋がるのです。

④全身疾患に関連

近年の研究では、口腔内の細菌や炎症が、全身の健康に影響を与えることがわかっています。

歯周病菌が血流に入り、動脈硬化や心内膜炎のリスクを高める可能性があります。
他にも、歯周病と糖尿病は相互に悪影響を及ぼす関係にあるのです。

オーラルケアは歯の問題だけでなく、全身の健康を維持するためにも重要です。

 

歯垢をつきにくくする4つの方法

オーラルケア用品|ムクノキ歯科


歯の適切なケア方法を知ることで、歯垢の付着を最小限に抑えられ、健康な口腔環境を維持できます。

以下の4つの方法を実践してみましょう。

①正しいブラッシング

正しいブラッシングには時間・角度・圧力・動き・磨く順番が重要です。
3分程度の時間をかけ、歯と歯肉の境目に45度の角度で毛先を当てましょう。

歯茎を傷付けないように力は強すぎず、鉛筆を持つくらいの軽い力で行います。
小刻みに動かしながら、1ヶ所につき10回程度ブラッシングし、磨き残しがないよう順番を決めて全体を磨くことが大切です。

磨き残しの場所が気になる方は、専用の歯垢染色剤を使うとどこが磨けていないのかすぐに見えて、効率的に除去することができます。

②フロスや歯間ブラシなどオーラルケア用品の使用

歯に歯垢をつきにくくするために、オーラルケア用品を取り入れましょう。
歯ブラシだけでは落としきれない歯と歯のすき間の清掃は、全体のオーラルケアの40%を占めると言われています。

フロスやタフトブラシ、電動歯ブラシなどのツールも使用すると、さらに効率的に歯垢を除去できます。

ただし、歯間ブラシを使う際には、歯間の幅に合ったサイズを選ぶことが重要です。
歯間ブラシは、太いと入らず、細いと汚れが取り切れなくなってしまうのでサイズ確認が大切です。
使用後は水でよく洗い、乾燥させることで清潔に保ちましょう。

③口呼吸を避けるトレーニングの実践

歯垢をつきにくくするために、口腔内の乾燥を避けましょう。
口を閉じる筋肉を鍛えるトレーニングやも効果的です。

口呼吸を改善するためのトレーニング方法としては、まず日中、意識的に鼻で呼吸する習慣をつけることが基本です。
舌を上あごに付ける「舌位トレーニング」を行うことで、正しい舌の位置を維持する習慣がつきます。

唾液の分泌を促すことも大切で、十分な水分摂取やシュガーレスガムを噛むことも有効でしょう。

特に就寝時の口呼吸が気になる場合は、専門家に相談することがお勧めです。

④歯医者での専門的なクリーニング

歯垢や歯石が取り切れない場合は、歯医者での専門的なクリーニング(PMTC:Professional Mechanical Tooth Cleaning)が必要です。

自宅でのケアだけでは除去できない、歯垢や歯石を取り除き、歯の表面をツルツルに仕上げます。
クリーニングの推奨される頻度は、個人差がありますが3〜6ヶ月に1回で、スケーリング(歯石除去)とPMTCなどを受けましょう。

歯医者の受診は、クリーニングだけでなく、トラブルの早期発見やホームケアの改善に繋がります。
無理に自分で歯石を取ろうとせず、専門家である歯医者に頼るのがお勧めです。

PMTCの症例

PMTCの症例|ムクノキ歯科

治療内容PMTC
染め出しを行いバイオフィルムを目視確認し、磨き残し箇所をブラッシング指導。
歯石を除去し、エアーフローを用いてバイオフィルムを除去。
治療期間・回数約60分(汚れ具合によって変動します)
費用16500円(税込・自由診療)
副作用・リスク知覚過敏・虫歯・歯周病で歯肉が下がって根が祖述している方は染みる場合があります。
パウダーのあじが少し甘く気になる方もいます。
エアフローがチクチクの感じる方もいます。

 

まとめ:適切なケアで歯垢のつきにくい健康な口内環境を目指しましょう

歯ブラシを持つ女性|ムクノキ歯科

歯垢をつきにくくするためには、原因と自分の付着しやすいところを把握して、適切なケアが必要です。
健康な口を保つために、歯垢がつきやすい場所を意識して丁寧に歯を磨き、歯間ブラシやフロスもぜひ活用しましょう。

歯垢がつきにくい人は毎日きちんと歯のお手入れをし、3~6ヶ月に一度のペースで歯医者のクリーニングを受けています。
当院のPMTCについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
☞PMTCについて歯科衛生士が徹底解説丨 PMTCの効果や施術の流れを解説

全身の健康を守るために正しい習慣を身につけましょう。

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