「鎮静剤と麻酔に違いはあるの?」
「治療中の痛みは、避けたい…」
このように歯医者が苦手で、治療に対して不安を抱く方も多いのではないでしょうか。
歯科治療を受ける際、「鎮静剤」と「麻酔」という言葉を耳にすることがあります。
どちらも治療を楽にする方法ですが、目的や効果は大きく異なるのです。
この記事では、ムクノキ歯科の歯科衛生士である東山が2つの違いを解説します。
「鎮静剤」と「麻酔」の違いとは
ここでは、鎮静剤と麻酔の違いについて解説します。
鎮静剤は不安をやわらげる薬
鎮静剤は、精神的な緊張をほぐし、リラックスさせる作用に期待できます。
治療に対する不安や恐怖心を和らげるのが主な目的で、意識はある状態を保ちながら、心理的な負担を軽減します。
鎮静麻酔については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
☞怖さを軽減する鎮静麻酔とは?歯科治療前に知っておきたいメリットや注意点を解説
麻酔は痛みを感じなくさせる方法
麻酔は、神経への痛みの伝達を防ぎ、治療中の痛みや不快感を抑える方法です。
局所麻酔・全身麻酔・静脈麻酔など、治療内容や患者様の体質に応じて適切な方法が選択されます。
治療部位の痛覚を遮断する効果があり、種類によって意識の有無が変わり、治療内容に応じて最適な方法が選択されます。
比較項目 | 鎮静剤 | 麻酔 |
---|---|---|
目的 | 不安を軽減 | 痛みを抑える |
主な作用 | リラックス | 感覚の遮断 |
意識の有無 | あり | あり (全身麻酔はなし) |
使用シーン | 恐怖心の強い治療 | 一般的な歯科治療 |
歯科治療は麻酔が基本で、鎮静剤は補助的な役割
歯科治療において、痛みを取り除く麻酔の使用が基本です。
鎮静剤は、患者様の不安を和らげるための補助的な役割を果たします。
ここでは、歯科治療でそれぞれが使われるケースを紹介します。
麻酔が使われるケース
麻酔は、痛みを要する治療に使用します。
麻酔には下記の種類があり、治療内容によって分けられます。
- 表面麻酔:注射針の痛みを軽減するため、麻酔注射前に使用される方法。ゲル状やスプレー状の薬剤を歯茎に塗布する。
- 局所麻酔:虫歯治療、歯のクリーニング、抜歯などの一般的な治療で使用。最も頻繁に使用される麻酔。
- 全身麻酔:外科的な大きな処置で使用。意識を完全に失った状態で行われる。
鎮静剤が使われるケース
鎮静剤は、歯科治療に強い不安や恐怖がある方、パニック障害などで治療が困難な方、長時間の治療が必要な方に使用します。
また一般的に鎮静剤は、局所麻酔と併用して使われます。
比較項目 | 鎮静剤 | 麻酔 |
---|---|---|
目的 | 不安を軽減 | 痛みを抑える |
主な作用 | リラックス | 感覚の遮断 |
意識の有無 | あり | あり (全身麻酔はなし) |
使用シーン | 恐怖心の強い治療 | 一般的な歯科治療 |
歯科治療中の患者様の感じ方の違い
患者様が感じる鎮静剤と麻酔の使用時の違いについて、解説します。
麻酔を使用したときの感覚
麻酔の治療中は、痛みを感じにくくなりますが、触られている感覚や圧迫感は残ります。
意識はあるため、治療音は聞こえる状態です。
ただし全身麻酔は、意識がない状態で治療を行うため、酸素吸引しながらの治療になります。
鎮静剤を使用したときの感覚
鎮静剤の使用時は、意識はあるがぼんやりとしてリラックスした状態になります。
時間の感覚が曖昧になって不安や恐怖心が軽減され、治療の記憶があまり残らないのが特徴です。
「あっという間だった」と感じる患者様が多く、徐々に通常の意識状態に戻っていきます。
自分に合った治療方法を選ぶために
治療内容や体質に合った方法を選ぶ
痛みに弱い方には麻酔が有効で、表面麻酔と局所麻酔の併用を検討し、麻酔の効き具合を医師に伝えることが大切です。
また治療への恐怖心が強い方には、鎮静剤の併用が有効です。
カウンセリングによる心理的サポートも重要になります。
最適な方法の選択は、以下を総合的に考慮して決定されるでしょう。
- 治療内容
- 患者様の体調・体質
- 過去の治療経験
- 現在の精神状態
不安がある場合は事前に医師へ相談する
アレルギー歴や過去の鎮静・麻酔経験について不安がある場合は、医師に詳しく伝える必要があります。
薬剤・食物・ラテックスなどのアレルギー歴や、過去の鎮静・麻酔経験とその際の反応など医師に報告することが重要です。
女性の場合は、妊娠の可能性や授乳中なども伝えましょう。
治療に対する不安や希望は遠慮なく伝えることが大切で、質問や疑問点について率直に相談することが重要です。
よくある質問(FAQ)
ここでは、よくある質問に回答します。
鎮静剤や麻酔を使った後の注意点は?
当日は重要な判断や契約に関して、一時的に判断力が低下することがあるため避けるべきです。
たとえば、治療当日の運転が挙げられます。
車の運転は、反射神経や判断力が低下している可能性があるため避ける必要があります。
また、食事や水分摂取、のタイミングも医師の指示に従うようにしてください。
麻酔が効いている間は、誤って舌や頬を噛まないよう注意し、熱い食べ物や飲み物には気を付けましょう。
鎮静剤と麻酔の副作用は?
副作用として以下のような症状が見られます。
- 眠気
- めまい
- 一時的な記憶障害
- 口の乾燥
- 吐き気
- まれに重篤なアレルギー反応・呼吸抑制
まとめ:麻酔は痛みを鎮静剤は不安を減らす
麻酔の目的は痛みを感じなくさせることであり、鎮静剤の目的は不安や恐怖心を軽減することです。
歯科治療に対する不安や恐怖は、多くの方が抱えるものです。
現在では、鎮静剤と麻酔を適切に使い分け、患者様一人ひとりに最適な治療を提供することが可能になっています。
自分の体質や不安について医師に相談し、治療方法について十分な説明を受けましょう。
不明点があれば遠慮なく質問し、治療後は注意事項を守ることが重要です。
ムクノキ歯科では、公式LINEやメールでのお問い合わせを24時間受け付けております。